政策提言2019.03.05

バイオエタノール活用が石油業界に与えるポジティブインパクト

 一般社団法人 日本パブリックアフェアーズ協会理事である慶應義塾大学大学院経営管理研究科の岩本隆特任教授は2019年3月5日、レポート「地球温暖化対策と経済成長との両立に向けた考察~バイオエタノール活用が石油業界に与えるポジティブインパクト~」を発表しました。

サマリー

■パリ協定発効を契機として各国で「脱炭素」化が加速する中、内燃機関自動車(ICEV:Internal Combustion Engine Vehicle)から電気自動車(EV:Electric Vehicle)へのシフトが大きな潮流に。一方、電力の多くを火力発電に依存する日本においては、EVシフトのCO2排出量削減効果は大きくありません。むしろ、ハイブリッド車とバイオエタノール混合ガソリンの併用で、EVと遜色ないCO2排出量削減効果が期待できます。

■ 石油業界にとって、EVシフトはガソリン需要・収益の減少に直結。まだ日本で普及が進んでいないバイオエタノール混合ガソリン(特に直接混合E10)を本格的に普及させることによる石油業界へのポジティブインパクトを試算したところ、ドラスティックなEVシフトが進んだ場合と比べ、石油業界の収益を9,402億円(2030年時点の推計)も向上させることが分かりました。

■ また、仮に政府目標どおりにEVシフトが進んだ場合、2040年頃には石油業界最大手であっても事業継続困難なレベルまでガソリン需要が落ち込むことも分かりました。脱炭素化と経済成長の両立のため、バイオエタノール混合ガソリンの本格的普及が必要とされています。

 

地球温暖化対策と経済成長との両立に向けた考察~バイオエタノール活用が石油業界に与えるポジティブインパクト~.pdf PDFファイル 1 MB ダウンロード