政策提言2026.04.21

脳卒中「再発予防」への戦略的シフトを求める政策提言を公表

一般社団法人 日本パブリックアフェアーズ協会(東京都港区、代表理事:増田寛也)は、2026年4月21日(火)に政策提言書「年間1.65兆円の国家損失と「要介護化・介護離職」を防ぐ、脳卒中・再発予防への戦略的シフト〜EBPM基盤の構築と切れ目のない病診連携が日本の労働力を守る〜」を発表しました。この政策提言書は、藤本茂 自治医科大学内科学講座神経内科学部門教授、峰松一夫 日本脳卒中協会理事長、宮本享 京都大学医学部附属病院特任病院教授(脳卒中療養支援センター長)、川勝弘之 日本脳卒中協会副理事長監修の下、日本パブリックアフェアーズ協会において作成したものです。

背景:再発率25%、脳卒中が引き起こす国家的な危機

我が国において脳卒中は死因の第4位であり、認知症と並んで「要介護となる原因」の上位を占めています。脳卒中の最大の特徴は、約25%という極めて高い再発率にあります。

現在、脳卒中に係る社会的費用は年間約6.6兆円に達しており、再発率に基づき試算すると、再発に起因する社会的損失は年間約1.65兆円に上ります。これは日本の労働力喪失および社会保障財政を直撃する深刻な問題です。しかしながら、脳卒中対策予算(循環器病対策全体で約44億円)は、がん対策予算(約350億円)と比較して極めて僅少であり、戦略的な投資への転換が急務となっています。

現状の課題:医療の分断と情報の「空白地」

脳卒中医療は急性期の治療技術が飛躍的に向上した一方で、退院後の「維持期(生活期)」における再発予防が大きな課題となっています。

病診連携の分断

急性期・回復期病院と、退院後の患者を支えるクリニック(かかりつけ医)の間で医療情報が十分に共有されておらず、適切な服薬管理や生活習慣の指導が途切れるリスクがあります。

相談体制の不足

患者や家族からは「退院後に放り出された感じがした」、「誰に相談すればよいか分からない」といった切実な声が上がっています。

データ基盤の未整備

がん登録のような法的根拠に基づく全国的なデータベースが存在しないため、再発率等の正確な把握やエビデンスに基づく政策立案(EBPM)が困難な状況です。

提言の5つの柱

1.全国データベースの構築

「がん登録」に倣った法的根拠に基づく「全国脳卒中登録データベース」を整備し、データヘルスを推進する。

2.支援体制の均霑化

京都府の先進事例(生活期連携主治医制等)をロールモデルとし、「病院から放り出さない」包括的な支援体制を全国展開する。

3.対策予算の抜本的増額

研究費を現状の13億円から50億円規模へ、対策全体を150億円規模へ増額し、戦略的投資を行う。

4.診療報酬の充実

脳卒中相談窓口加算の創設、地域連携パスの評価拡充、退院後1年程度の外来リハビリの保険適用などを実現する。

5.数値目標の設定

医療計画等に「再発率を何%以下にする」等の具体的な数値目標を記載し、PDCAサイクルを確立する。

弊協会では今後も、市民、政治家、行政が参加するオープンな議論と政策検討の場を用意する「パブリックアフェアーズ活動」の概念普及を推進し、政府機関だけでは解決策を考察・実行することが困難な社会課題に対し、民間の活力と叡智を取り入れた解決策を提供していくための議論や研究、提言を行ってまいります。

『年間1.65兆円の国家損失と「要介護化・介護離職」を防ぐ、脳卒中・再発予防への戦略的シフト〜EBPM基盤の~』.pdf PDFファイル 1 MB ダウンロード

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